それは忘れもしない蒸し暑い夜の出来事でした。
当時、製版会社に勤務していた私は、その時夜勤に就いて、仕事が始まる前に材料を2階倉庫からもって行こうと手押し台車を引きながら倉庫に入った時でした。
「ぷち

」とかいう感触が方輪から伝わり、何事かと台車をどけてみました。
そこにはゴキブリの野郎が腹を押しつぶされた無残な姿が!
ぴくつきながら己の体からあふれ出した透明の体液まみれ、やがて来る最期の時を待ち続けるその姿は、異様そのもので思わず悲鳴をあげてしまいました。(ゴキブリの血液?って透明だったんだね)
その悲鳴が下の階層にまで響いたらしく佐藤さんが駆けつけてきました。
「何!今の悲鳴!?」
私「いやあの・・そこの」とつぶれたゴキブリを指差しました。
佐藤さん「・・・・ずいぶん間抜けなゴキブリがいたもんだね」
そう吐き捨てられたゴキブリは、間もなく静かに息を引き取りました。
それは忘れもしない蒸し暑い夜の出来事でした。
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